★★注目ニュース★★ オムロン ヘルスケア、約30万人分のデータから血圧測定の継続性を予測するAIモデルを開発

里見将史

2026.01.13

『HealthTechWatch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。

今回注目したニュースはこちら!

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“約30万人分の家庭血圧データから、血圧測定の継続性を予測するAIモデルを開発”

~京都大学大学院医学研究科とオムロン ヘルスケアの共同研究~

京都大学大学院医学研究科(奥野恭史教授)とオムロンヘルスケアによる共同研究講座の研究グループは、オムロンヘルスケアの健康管理アプリ利用者約30万人の大規模な家庭血圧の測定データを解析し、2週間の測定データとユーザー属性から血圧測定の継続性を予測するAIモデルを開発しました。

当研究論文「機械学習を用いた家庭血圧測定における測定継続性の予測(Predicting measurement continuity in home blood pressure monitoring using machine learning)」は、2025年11月7日にHypertension Research で発表されました。

高血圧は脳・心血管疾患の最大のリスク要因であり、その管理には家庭での血圧測定の継続が不可欠です。家庭血圧は、危険な血圧の変動を捉えたり、投薬効果を確認したりできるなど、高血圧の適切な治療において重要です。しかし、アドヒアランス*1の維持が難しく、多くの患者が途中で測定を中断してしまうのが実態です。血圧測定の中断は治療効果を損ない、重症化リスクを高める可能性があります。そのため、中断の可能性が高い患者に対して事前の働きかけを可能にするために、AIを活用して測定継続性を予測するなどの新しいアプローチが求められていました。

*1患者が医師や医療従事者の指導に沿って治療や生活習慣の改善を継続すること

このたび、研究グループはオムロンヘルスケアの健康管理アプリ「OMRON Connect」に上腕式血圧計を登録している約30万人分のデータを解析しました。その結果、年齢や性別、血圧値や測定頻度、曜日ごとの測定パターンなどのユーザー属性と過去2週間の測定データの傾向から、4週間後における測定継続の有無を9割以上の高精度で予測するAIモデルを開発しました。

解析の結果、血圧値に加え、測定頻度が、測定の継続に大きく影響することが明らかになりました。特に、平日の測定頻度が前週に比べて減少したユーザーや、2週間の中での最高血圧値が一定以上高いまたは低いユーザーでは、アドヒアランスが低下する傾向がみられました。

今回、蓄積されたデータを機械学習の手法を用いて定量的に解析したことで、従来捉えにくかったこれらの特徴をAIが抽出し、測定中断リスクの高いユーザーを早期に特定できるようになりました。

本研究で開発したAIモデルにより、家庭血圧測定のアドヒアランス低下のリスクを早期に予測し、継続的な測定を支援することが可能になります。

今後は、本研究で得られたAI予測モデルを次世代に向けたよりよい高血圧管理の実現のために積極的に活用していきます。さらに、 オムロンヘルスケアが保有する健康機器から得られた大規模なデータと、京都大学の臨床知見・医療データ解析の知的基盤を融合し、医療とテクノロジーをつなぐ「健康医療のDX(デジタル・トランスフォーメーション)」を実現していきます。

プレスリリースはこちら(オムロン ヘルスケア株式会社 2025年12月18日掲載)
 
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。

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『HealthTechWatch』の視点!

今回取り上げたのは、約30万人分の家庭血圧データから血圧測定の継続性を予測するAIモデルをオムロンヘルスケアが開発したニュースです。

高血圧や肥満などの生活習慣病の予防や疾病管理、治療に向けては、測定が最初の一歩だと言われています。

特に、血圧測定、体重測定は、家庭用機器が普及しているため、家庭での測定は一般的になってきています。

しかし、家庭での血圧測定、体重測定では、継続的に測定すること自体に大きなハードルがあり、継続的な測定という行動そのものが行動目標に設定されるケースが指導の現場でも多く見かけられます。

これまでオムロンヘルスケアなどの機器メーカーでは、測定のあとの記録、データの管理を測定機器とアプリを連携させて自動化を提供し、データの見える化の継続性を高めるサポートとともにアプリを介した測定の継続支援にもアプローチしてきました。

しかし、そもそもの測定をしてもらえない限りアプリでのタッチポイントが活かせないだけではなく、利用者の血圧管理、体重管理を通した生活習慣病の予防や疾病管理、治療に導くことはできません。

今回のオムロンヘルスケアが約30万人分の家庭血圧データから血圧測定の継続性を予測するAIモデルを開発したことは、継続的な測定から脱落する傾向がある人を見つけて直接アプローチすることがが可能になります。

これまでのデータの管理、データの見える化のサービスでは、データをいかに見やすく表示するかなどの視点ではこだわりを持って改善を繰り返してきていましたが、測定やデータの記録自体を継続してもらうためのアプローチはあまり積極的ではなく、どちらかというと、データから変化を見つける、傾向を見つけるなどといったところは、利用者任せにしていた部分が多かった印象です。

今回の血圧測定の継続性を予測するAIモデルは、オムロンヘルスケアが保有する約30万人分の利用者の家庭血圧データから開発しています。

似たような多くの利用者を抱えているサービスでも、今回のオムロン ヘルスケアと同じように利用者のデータを利活用することで、利用者の行動の継続に活かせる視点が見えてくるはずです。

利用者のデータを手付かずのままにしておくのではなく、しっかりと分析して、利用者の行動の継続サポートや利用者の目的に合わせたサポートなどに役立てて、継続的に利用してくれている利用者にサービスとしてお返しするべきだと思うのです。

利用者のデータがサービスに活かされるといった利用者と提供者の新しい関係性やデータの循環モデルは、今後のサービスには必要な視点ではないでしょうか?

『HealthTechWatch』編集委員 里見 将史
ヘルスビズウォッチ合同会社の共同代表、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。

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