★★注目ニュース★★ 特定保健指導を受けたことがある人vs受けたことがない人の意識の違いを調査!
『HealthTechWatch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“特定保健指導を受けたことがある人vs受けたことがない人
メタボ・肥満に対する意識の違いを調査!”
大正製薬は2025年3月に保健師や管理栄養士等を対象に実施した「特定保健指導制度の実態調査」の結果を報告しました。この調査では、メタボリックシンドローム(以下、メタボ)・肥満者に対する指導に課題を抱えている現状や対象者本人が問題と捉えていない実情が明らかになりました。
(参考:【実態調査】メタボ・肥満に対する特定保健指導)
今回は特定保健指導の対象となった方に調査を実施し、特定保健指導を受けた方と受けなかった方のメタボ・肥満に対する意識を比較してみました。
※特定保健指導とは・・・生活習慣病予防のために行われる40~70歳が対象のメタボに着目した健診(特定健診)の結果、生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善による生活習慣病の予防効果が期待できる方に対して行われる指導のこと
特定保健指導に行かない理由は、「面倒だから」「危機感がないから」
特定保健指導の対象者となった方に特定保健指導を受けたことがあるかを調査したところ、受けたことがある方は77.4%、受けたことがない方は22.6%で、約4人に1人が特定保健指導の対象者となったにもかかわらず受けたことがないと回答しました。
受けなかった理由としては、「かかりつけ医がいるから」の他に、「面倒だから」「危機感を感じていないから」といった回答が多くあげられました。
受けたことがある方と受けたことがない方の健康への意識の違いは
メタボ・肥満について、特定保健指導を受けたことがある方は「改善したい」と考えている方が多いのに対して、受けたことがない方は「気にしていない」と回答する方が多い傾向がみられました。
また、自身の健康で改善したい点について調査したところ、「体重」と回答した方は特定保健指導を受けたことがある方、受けたことがない方のいずれでも過半数を超えており、特定保健指導の経験にかかわらず「体重」への関心が高いことがわかりました。一方で、両者を比較すると、受けたことがある方では「内臓脂肪」や「血圧」と回答した方も多く、特に「内臓脂肪」は最も多く挙げられていました。このことから、特定保健指導の経験によって重視する指標に差があることが明らかになりました。
さらに、メタボ・肥満のイメージについて尋ねたところ、「近い将来には健康上影響はない」と考えている方の割合は、特定保健指導を受けたことがある方で6.2%であったのに対して、受けたことがない方では19.5%であり、メタボ・肥満に対する意識に差があることが分かりました。
「内臓脂肪」と健康の関係は?
日本人の死因の上位には、がんに次いで心疾患や脳血管疾患などの生活習慣病が挙げられます。生活習慣病とは、食事や運動等の生活習慣の乱れが発症・進行に関わる疾患の総称です。
内臓脂肪は生活習慣の乱れにより蓄積します。内臓脂肪が過剰に蓄積すると、高血糖・高血圧・脂質異常が起こりやすくなり、内臓脂肪の過剰蓄積に加えて、これらのうち2つ以上が当てはまると「メタボ」と診断されます。また、「メタボ」の状態が継続すると、動脈硬化が進行し、最終的には狭心症や心筋梗塞、脳卒中といった命に関わるような重大な疾患につながるリスクが高まります。このように、内臓脂肪の蓄積から連鎖的に病気が発症する様子はドミノ倒しに似ていることから、「メタボリックドミノ」とも呼ばれています。
このため、内臓脂肪を減少させることは、高血糖・高血圧・脂質異常を改善することにつながり、さらには動脈硬化により発症する疾患の予防にも効果的であると考えられています。以上のことから、健康を考えるうえでは「内臓脂肪」は非常に重要な指標となります。
まとめ
ご自身の健康を守るためには、まず自身の健康状態を把握し、正しい知識をつけることが大切です。最近では、オンラインでの特定保健指導も実施されており、現地での面談が難しい方でも気軽に受けることができます。また、オンライン相談やセルフチェックツール等の手軽に自身の健康と向き合う方法も増えていますので、自身の健康を見つめ直す機会を作ってみてはいかがでしょうか。
プレスリリースはこちら(大正製薬株式会社 2026年2月4日掲載)
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『HealthTechWatch』の視点!
今回取り上げたのは、大正製薬が実施した特定保健指導を受けたことがある人と受けたことがない人のメタボ・肥満に対する意識の違いを調査した結果です。
特定保健指導は2008年度に開始されて、これまでに制度改正・変遷を経て、現在は第4期として、より成果重視や実効性・質の向上が求められてきています。
しかしながら、特定保健指導はある一定の成果は出ていると思われますが、制度の中での取り組みになっているため、大きな成果になっているかというと、なかなか課題が多いのも事実だと思います。
今回の調査結果でも明らかなように、対象者になっているにも関わらず特定保健指導を受けない人がある一定数存在しており、動かしたい人を動かすことの難しさが特定保健指導には存在します。
また、特定保健指導を受けた人では意識が変化している傾向は受けていない人との違いで明らかですが、意識だけ変化していても行動までが変化したかどうかまでは結びついていないのが、現状の特定保健指導の課題ではないかと、私は考えています。
その理由としては、特定保健指導を受けた人が次年度も対象者になってしまっている「リピータ」の存在が大きいからです。
特定保健指導を受けている期間は、ある程度の行動は持続するかもしれませんが、指導が終了してからは、対象者は自らの力で行動を継続していかないと、成果、変化は維持できません。
この行動を継続するところまでアプローチできていないのが、特定保健指導の大きな課題になっていると思われます。
健康領域における行動変容の難しい点は、「始める」と「続ける」の双方です。
特定保健指導でも、「始める」と「続ける」の双方の課題に対して、これまで以上のアプローチ、サポートが必要なのです。
しかし、制度面や価格面から考えるとなかなか踏み込めない領域であるのは事実ですが、本当の意味での行動変容を促して、対象者の健康リスクの低減を実現しようとするのであれば、「始める」と「続ける」の双方のアプローチを強化する以外にないと思います。
サービス提供者側の目線ではなく、対象者、利用者の目線による特定保健指導の提供が、本来の姿だと強く思います。
『HealthTechWatch』編集委員 里見 将史
ヘルスビズウォッチ合同会社の共同代表、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
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