★★注目ニュース★★ 遺伝子検査企業の23andMeが破産申請

『HealthTechWatch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“遺伝子検査企業の23andMeが破産申請”
米遺伝子検査企業の23andMeは3月23日(現地時間)、米ミズーリ州東部地区破産裁判所に連邦破産法第11章(チャプター11、日本の民事再生法に相当)の適用を申請したと発表した。事業価値を最大化するための売却手続きを促進するため、としている。
同社は、遺伝子検査キットの需要低迷と2023年に発生した大規模なデータ侵害により、経営状況が悪化していた。
破産手続き中も通常の事業運営を継続するという。また、顧客データの保管、管理、保護の方法に変更はないと強調しており、データプライバシーに関する透明性を維持する方針を示している。
今回の破産申請に先立ち、共同創業者であるAnne Wojcicki氏はCEOを辞任した。同氏は、取締役会の特別委員会による買収提案の拒否を受け、「独立した入札者として会社を買収するために最善の立場となるため」辞任したとXへの投稿で説明した。
2021年に上場した後、一時的に評価額が60億ドルに達したが、その後、利益を上げることができず、評価額は5,000万ドルに急落した。2023年のデータ侵害の際に約700万人の顧客のデータを保護できなかったとして2024年9月に3,000万ドルで訴訟を和解し、11月には従業員の40%を削減すると発表した。
記事原文はこちら(『ITmedia NEWS』2025年3月25日掲載)
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『HealthTechWatch』の視点!
2006年にGoogleなどの出資により創業した23andMeが、ついに破産となります。
オンラインでの遺伝子検査という新しいカテゴリーを作ったことで、多くの人が遺伝子検査(簡易ではあるが)を気軽に受けることができるようになりました。
その後、日本でも唾液を使った簡易オンライン遺伝子検査を導入する企業が増えましたが、国内では割と早い段階で終息に向かった印象です。
提供者として検査ビジネスは、提供の仕方が確立されれば、大量生産的に提供しやすいのでやりたがる傾向があります。
「人は自分の健康状態は知りたいはず」との思いもあり、導入に踏み切るケースを何度も見てきました。
しかし、利用者の立場になると、チェックだけのサービスは中途半端な印象を持たれることも多いです。
やはりヘルスケアにお金を払うのは「健康課題の解決」です。
検査で見つけた課題(将来予測も含め)に対し、解決するソリューションをセットで提供しなければ片手落ちになり、思ったほど利用者が集まらないことになりやすいです。
特に簡易遺伝子検査では、健康状態を改善したからといって、数値に影響が出ないものがほとんどのため、例え改善ソリューションまで提供したとしても継続利用に繋がらず、単発の提供で終わってしまいやすくなります。
23andMeもこの課題に気づき、ソリューション企業の買収などの動きもありましたが、ただソリューションをつけただけでは、本当の意味での魅力とはならないでしょう。
今までも話題となってきた23andMeでも破産に追いやられる現実を、改めて分析する価値はあると思います。
『HealthTechWatch』編集長 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、ウェルビーイングの社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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