★★注目ニュース★★ TSOLife、高齢者向けコミュニティにAI活用を加速

『HealthTechWatch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“TSOLife、高齢者向けコミュニティにAI活用を加速するため4,300万ドルを調達”
居住者の観察分析を行い最適な体験を提供するTSOLife社は、PeakSpan Capitalが主導するシリーズBの資金調達ラウンドで4,300万ドルを獲得し、同社の総資金調達額は5,200万ドルとなった。
TSOLifeのAIプラットフォーム『Minerva』は、組み込み分析によってデータ作成を簡素化し、高齢者コミュニティにてデータを収集して使用し、居住者の行動指針を支援する。
『Minerva』は、録音された音声インタビューを、各個人に関する包括的な洞察を提供する居住者のデジタルプロファイルに変換する。
『Minerva』にて、各居住者のデジタルプロフィールを分析してコミュニティ内の潜在的な友人関係を特定し、スタッフが見込み客や現在の居住者に新しい友人を紹介したり、志を同じくするグループを調整することができる。
フロリダに拠点を置く同社は、調達した資金を製品開発の促進、AI機能の強化、顧客サポートの強化、そして高齢者向けコミュニティへのデータ駆動型およびAIを活用した運営改善をもたらすという使命の拡大に活用する予定だ。
TSOLifeの創設者兼CEOであるDavid Sawyer氏は声明で、「私たちは健康、つながり、目的、関与といった社会的原動力を強化し、生活の質を有意に向上させ、入居者の滞在期間を6週間以上延長する能力があることを証明した」と述べた。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2025年5月9日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『HealthTechWatch』の視点!
米国では高齢者層増加を踏まえて、高齢者支援ビジネスが急拡大しています。
TSOLifeは高齢者施設を運営し、デジタルを活用して居住者の観察から生活支援を行っています。
高齢者施設でのデジタル活用では、転倒検知や予防の支援、健康状態の管理などの導入は進んでいますが、TSOLifeは居住者同士のコミュニケーション活性にデジタルによる洞察を活かしています。
日本でも高齢者の課題として、引き籠もりが健康状態悪化の原因とする指摘は多く見られます。
引き籠もることで、体を使わなくなるだけでなく、人との会話がなくなると、コミュニケーションによる適度な緊張感による脳の活性に繋がらず、フレイルそして認知症を発症してしまう要因になると言われています。
居住者同士のコミュニケーションでも、趣味が合いそうな人を繋ぐだけでは解決とはいかないでしょう。ちょっとした性格の不一致で関係が崩れることだってよくあります。
社交的かそうでないかによっても、人との距離感の縮め方は代わってきます。
このあたりを丁寧に支援すること。それを専門職のスキルだけに頼るのではなく、仕組みとして組み込むことは、今後の高齢者支援において発展性を感じます。
一歩先を行く事例として参考にするとよいでしょう。
『HealthTechWatch』編集長 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、ウェルビーイングの社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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