★★注目ニュース★★ サンスターグループ、オーラルフレイルと関連する良い口腔ケア習慣が明らかに

里見将史

2025.09.29

『HealthTechWatch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。

今回注目したニュースはこちら!

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“歯科専門職だけでなく推奨可・高齢者が誰でも日常的に実践できる オーラルフレイルと関連する良い口腔ケア習慣が明らかに”

~日本老年歯科医学会第36回学術大会にて発表~

サンスターグループは、東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢機構長・教授らのグループとの共同研究において、オーラルフレイル予防のための具体的な指導内容の検討に役立てるため、地域在住高齢者におけるオーラルフレイルの該当レベルとお口のケア習慣との関連性を解析しました。

その結果、1日2回以上の歯みがき、週1回以上の歯間ブラシの使用による歯間清掃、年1回以上の歯科受診がオーラルフレイルの該当率と関連していることが判明しました。歯科専門職にだけでなく誰でも推奨が可能であり高齢者が自ら日常的に取り組める、歯みがき、歯間清掃、歯科受診のお口のケア習慣が咀嚼機能の維持や歯周病等の歯科疾患の抑制を通じて、オーラルフレイルの予防に繋がった可能性が考えられます。この研究成果は日本老年歯科医学会第36回学術大会にて発表されました。

<研究概要>
◆研究の背景・目的

オーラルフレイルは、2024年4月1日に発出された「オーラルフレイルに関する3学会合同ステートメント」において「歯の喪失や食べること、話すことに代表されるさまざまな機能の『軽微な衰え』が重複し、お口の機能低下の危険性が増加しているが、改善も可能な状態である」と定義づけられました。

オーラルフレイルは要介護・死亡リスクを高めることが報告されており、その予防対策が急務となっています。

また同ステートメント内で、特別な検査機器がない場合や歯科専門職が不在の場合でも、自身で簡単にオーラルフレイルのチェックが可能な「Oral frailty Five-item Checklist(OF-5)」が発表されました。

しかし、その発症や重篤化を予防するための具体的な指導内容はまだ十分ではありません。そこで、誰からでも推奨が行え、高齢者が自ら日常的に取り組めるお口のケア習慣と、オーラルフレイルとの関連を明らかにするため、本研究を実施しました。

◆研究対象者と方法

本研究は、2021年に千葉県柏市在住の65歳以上の健康な高齢者に実施した調査のうち、データに不備のない1,439名を対象とし、OF-5で判定したオーラルフレイルの有無と、お口のケア習慣である歯みがき回数・歯間清掃回数・歯科受診状況との関連性を横断的に解析しました。

◆研究結果

影響するさまざまな因子の調整後の解析により、歯みがき、歯間清掃、歯科受診といったお口のケア習慣の実践の有無とオーラルフレイルの該当・非該当が関連していることがわかりました。

さらに、これら3つのお口のケア習慣をすべて実施している人は、オーラルフレイルの該当率が最も低く、実施項目が少ないほど該当率が高くなることが確認されました。

◆結論

地域在住高齢者において、1日2回以上の歯みがき、週1回以上の歯間ブラシの使用による歯間清掃、年1回以上の歯科受診がオーラルフレイルの該当率と関連していることが判明しました。

セルフケアでの歯みがき、歯間清掃用具を使用したお口の健康管理、歯科受診が咀嚼機能の維持や歯周病等の歯科疾患の抑制を通じて、オーラルフレイル予防に繋がった可能性が考えられます。

サンスターは、これからもオーラルフレイルに関する啓発を継続し、オーラルフレイルの認知及び理解を促進することで、お口の健康を通じた健康寿命の延伸に貢献していきます。

プレスリリースはこちら(サンスター株式会社 2025年9月12日掲載)
 
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。

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『HealthTechWatch』の視点!

今回取り上げたのは、サンスターグループと東京大学高齢社会総合研究機構が実施した共同研究で、オーラルフレイルと関連する良い口腔ケア習慣が明らかになったというニュースです。

今回のニュースでは、オーラルフレイルと関連する良い口腔ケア習慣としては、以下3つの習慣が明らかになったと伝えています。

1、1日2回以上の歯みがき
2、週1回以上の歯間ブラシの使用による歯間清掃
3、年1回以上の歯科受診

このニュースを見た私の第一印象としては、オーラルフレイルと関連する良い口腔ケア習慣の3つは、当たり前の習慣ではないかと感じました。

その当たり前とは、3つの習慣をしっかりと行なっていればオーラルフレイのリスクは低くなるだろうというものと、もう一つの当たり前とは、この3つの習慣は、既に多くの人が実施しているのではという2つの当たり前という印象でした。

しかし、私が感じた当たり前という印象は、オーラルケアとしての一般的な知識であって、実際にはオーラルフレイルとの関係性はこれまで明確になっていなかったということだったのです。

今回の研究で3つの習慣がオーラルフレイのリスクの低減につながることが明確になったことで、習慣がオーラルフレイの予防につながることの意味づけが高まることが期待できます。

また、今回のニュースの中でも伝えている通りで、専門職以外でも推奨可能な具体的なケアのための習慣ということがポイントなんだと思います。

やはり誰もが伝えられ、誰もが取り組める習慣であって、その背景にしっかりとした効果のエビデンスが備わっていることが、多くの人に向けた「行動」「習慣」には必要なのかもしれません。

これまでなんとなく当たり前として捉えられてきた「行動」「習慣」も、しっかりとした背景情報が加わることで、より多くの人に注目される「行動」「習慣」になっていくのではないかと、今回のニュースを見てあたらめて感じました。

行動変容を促す際の一つの情報提供のヒントが見え隠れしたニュースだと、私は感じました。

『HealthTechWatch』編集委員 里見 将史
ヘルスビズウォッチ合同会社の共同代表、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。

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